第三十三話
アメ横の外国人~16系統の風景

山手線の内側や周辺を歩いていて外国人旅行客を見ないことはない。
昨今の中国との関係で彼の国では訪日規制がかかったとはいうものの、当然他の国からの訪問もあるし、中国の訪日旅客も絶対数が多いので、例えば電気屋の店内とか夕飯時のチェーン系食堂などに行くと外国語が聞こえてくることが大抵だ。面白いもので食事の件については傾向があり、例えばチェーン系の定食屋や牛丼屋に行くと概して韓国語や中国語が多くなり、回転寿司だと欧米系が多くなる。

昔から有名な東京の商店街「アメ横」は、私が思うにあらゆる意味で東京でも最上級にモノが安い商店街だ。よく年末になると正月の買い出しで人であふれるこの商店街がニュースになるが、お得な価格の商品があるのは何も年末だけではなく、普段から他では見られないような値段で売られている場合もあって呼び込みが激しい。勿論交渉も可能なので、特に数を買ったりすると更に安い。東京に来て最初にここを訪れた際、東京は物が高いと言うけどここに買い物に来たら他の町にいるよりも逆に安く生活出来るのでは、と思ったくらいだ。

何処で案内されるのかわからないけれど、特にアジア人を中心にこのアメ横でも観光客を見ることが多い。「有日本特色商場」とでも案内されているのだろうか?そこで聞こえてくる言葉は中国語や韓国語が大抵で、たまに欧米人がちらほらという感じ。生鮮品を買う訳では無いだろうし、服などがそれほど彼らの気を引くようには見えないので、せいぜい店頭で売られているせんべいとかの食べ歩きが関の山のような気もする。
電気街での中国人の買い物は新聞やテレビなどで報じられるように派手な買い方があるようで、特に大手電機屋では中国語の出来る店員が当然のごとく在籍しているが、このアメ横でそのような対外サービスがあるようにも思えない。要はその雰囲気やらを日本的なものとして体感出来る場として案内されているのだろうと思う。欧米人は物珍しそうに見ているようだが、中国人や韓国人にどのように映っているかは「?」自国に似たような空間はあるのでアメ横が日本の紹介になっているのかは分からないけれど、来ている人が少なくないところ見ると、観光ルートに入るだけの価値はあるのだろう。

観光地化された商店街はとかく値段が釣り上がるものだが、ここの商品はそんなことは無いようだ。実際にはこういう所で買うよりも近所のスーパーで買うことのことが多いし、上野まで来て食料品を買う需要がどれほどあるのかとも思う。が、外国人で賑わうだけの商店街になってしまっては寂しい。
ここは雰囲気も独特で大阪の黒門や京都の錦小路などと同様に日本人の私が歩いても十分楽しめる。私自身アメ横で購入して生活するスタイルにはなっていないけれど、たとえ「訪問者」であったとしても、ここを訪れる外国人と同様に東京での数十分をここに割いたとしても決して損にはならないだろうと思うのだ。

賑わう「日本的商場」アメ横

賑わう「日本的商場」アメ横

●16系統 担当:大塚車庫
大塚駅前~大塚三丁目~伝通院前~文京区役所前~本郷三丁目~上野広小路~厩橋~石原三丁目~錦糸町駅前
10kmを超える比較的長丁場の路線。現在でも同一ルートを都02系統の都バスが頻繁に結んでいて非常に多くの乗客がいる区間です。本数が多いから乗客が多いのか、人が多いから本数が多いのか..。バスしか無い下町区間はまだしも、上野広小路から西側も乗客が多いところを見ると、並行地下鉄があってもやり方次第でバスも人を集められる証拠のような路線にも思うのですが。副都心線に対する池86系統と同様に。

Originally, written on October 16, 2010

投稿者:

Mr.Problem

しがない制作屋です。 活動範囲:Web Producer / Director / html全般 / CSS全般 / WordPress / ガンダム / ドラクエなど..。企業内のWeb担当として活動。神奈川の海沿い生まれ。京都、大阪、神戸と流れて、今は東京在住です。