第四話
業平橋の「シンボル」~30系統の風景

ふと心に浮かぶ我が街の風景とは?

業平橋駅脇に建つ東京スカイツリーは、本日(※2010年4月25日)現在で高さ349m。私の家から見ることが出来るが、どんどん高くなっていくのが遠目からも良く分かる。周りに高い建物が無い事もあり、少し高い建物に上がれば東京のあちこちからも目にすることが出来るだろう。

東京のシンボルは東京タワーだと思っている。
単に高いだけでなく赤白の美しい鉄塔。昼間見てもよし、勿論夜景としてもとても美しい建物だ。西から新幹線で来る際の東京タワーが持つその象徴性への感慨は、同じ新幹線から見る京都に於ける東寺の五重塔と同様(京都タワーとは書きたくない)。やはり都市の象徴というものは建造物であるものなのか。それも美しさを持つ建造物、である。
仕事に疲れた時、赤羽橋の駅を降り、国道一号線の交差点に出て目に入る東京タワー。そしてビールを片手にタワー下で一息つく時に抱く、ホッとするあの感覚は何だろうか?やはり街には絶対的なシンボルが必要なのだ。

東京スカイツリーは東京の象徴として東京タワーを超えるだろうか。

完成時の高さは634m。世界第二位の建造物を想定している。東京タワーが出来た時は東京のあちこちから見えたというが、スカイツリーは今でさえ距離のある目白や新宿からも堂々とした高さで見えるのだ。完成してほぼ2倍の高さになった時、どれほどのインパクトを持つことになるか、想像できない。

ただ、高さやインパクトだけでは一都市の象徴とはなりえない。どれだけの印象を訪れる人というより、そこに住む人達に植え付けられるか、つまり生活の一風景に溶け込めるかが重要であって、単なる巨大建築物ではシンボルとなりえないとも思う。
そのような意味では、東京タワーは象徴となりえた。それは単に高いだけでなく、建てられた時代を背負っていたこととその後の発展を見下ろしていたこともあるだろう。

都市の象徴とは、都市やそこに住む人達と共にそこに存在しなくてはいけない。誰かが東京の何処かでこの塔を見て、自分の中の何がしかを思えるような存在でなくてはならないのだ。

言問通りを入谷から東に進むと、真正面に建築中のスカイツリーが見えてくる。丁度言問橋のたもと、隅田公園から隅田川を挟んだ対岸に望むあたりが、この塔を最も美しく見せているように思う。完成時の姿では天に突き刺す塔としてその存在を誇示することとなるだろう。

隅田川の流れと共にこの塔がそびえる時、東京を代表する川と同時に映るその景色は、スカイツリーを東京の象徴たらしめるのに十分な素地を持っていると思えるのである。

言問橋から望む建築中の東京スカイツリー

言問橋から望む建築中の東京スカイツリー

●30系統 担当:柳島車庫
東向島三丁目~言問橋~本所吾妻橋~雷門~上野駅前~上野広小路~須田町
部下のU君はかつて向島に住んでおり、この界隈を闊歩してたとのこと。おいしい店が結構あるそうです。

Originally, written on April 26, 2010