第二十八話
ROPPONGIの夜~6系統の風景

私の思い込みなのは認める。が、「六本木」と聞くと1980年代末~90年代の繁華街を思い浮かべてしまう自分がいる。
もちろん私はその頃は田舎にいるかそのまま関西に行ってしまったので、当時の六本木を知ることはないが、バブル期~崩壊あたりの化粧の濃い今や死語となったボディコンの女性たちがどうしても頭から離れないのだ。
別にそういう人達は跋扈する場所は新宿歌舞伎町でもいいのだが、自分が抱くイメージとは勝手なもので、私の中で六本木は21世紀の繁華街ではない。

決して嫌いな訳ではないのだ。しょっちゅうではないけれど足を運ぶこともある。
それは六本木ヒルズであったりミッドタウンとかであったりもするけれど、例えば麻布十番から歩き始めたら最後の目的地は六本木になるし、六本木交差点を飯倉の方に少し進んで見る東京タワーなどの六本木ならではの景色を見て何となく気分が高まる自分もいる。
ただそれらはいわば、副次的についてまわる景色であって、私にとっては異形の街。
「六本木」と書けばいいものを交差点の高速道路に書かれてる場所表示が「ROPPONGI」であったりと、何故かこの地は横文字がついてまわる。一発屋のヒット曲「GIROPPON」ではないけれど、今の時代にわざわざ横文字が似合う繁華街は、20世紀末の香りが漂っているではないか。

六本木ヒルズや東京ミッドタウンが持ってくる空気は流行のファッションの気であり、東京が持つ一つの顔=最先端の空気である。言ってみれば、汐留あたりの一見未来都市的な街がそこにはある。しかしそれはあくまで一部の範囲だけであって、六本木交差点を中心にどうしても先に書いたようなあか抜けない気が抜けきれないのは、一方の顔である夜の空気がそう感じさせるのだろう。

夜の六本木は外国人の街でもある。最近は東京でアジア系を中心とする外国人を見ないことは無いが、六本木の外国人は東京在住の人々であって、一時の訪問者ではない。六本木を囲う麻布という地域には大使館が多く位置することもあってか港区の外国人比率は他の区と比較して高いけれど、夜になると近隣在住の人々が集まってくるのか、それとも東京各地や近隣の街から集まってくるのか、六本木通りや外苑東通り、芋洗坂沿いのカフェやバーは外国人で一杯だ。それも新宿辺りと異なり、見る人の殆どが欧米人。だからだろうか、この風景は特に西洋の街角で見る風景と良く似ている。六本木の夜は「ROPPONGI」であって、日本にある西洋都市のようでもある。

20世紀のバブルの香りであろうと外国人の街であろうと、どちらの顔であっても東京の他の地域に見られる雰囲気とは違っている。いいなればROPPONGIの夜は、東京の中にあるエトランゼの街でもあるような気がしてならない。

夜の六本木交差点

夜の六本木交差点

●6系統 担当:青山車庫
渋谷駅前~南青山五丁目~西麻布~六本木~溜池~虎ノ門~新橋
渋谷と六本木を結ぶこの線は骨董通りを経由していましたが、現在は六本木通り経由で西麻布から先は同ルートの都01系統のバスが走ります。地下鉄で行くのには不便なため、その便数は多く、渋谷駅でバスを待つことはありません。

Originally, written on September 11, 2010